「落ち着きましたか?」 私を抱いたまま、尚仁様が優しく仰います。 「はい…もう、大丈夫でございます。」 そう言いながら尚仁様の胸を押して離れようとすると、今度はくるりと体を反転させられて尚仁様の脇に収まりました。 驚いて尚仁様を見上げると、そっと優しく口づけなさるのです。 顔を離していたずらっ子のようにお笑いになる御顔は、ああ、出会った頃と何ら変わらない愛おしいお方…