そのまま、尚仁様は眠ってしまわれました。
酔った勢いでも良い、いつになく甘い言葉をもっと聞かせて頂きたかった…
少し甘えた気分で、尚仁様の腕を揺すってみましたが、酔っていらした尚仁様はぐっすり眠っていて起きる気配もございません。
仕方がないのでそのまま尚仁様の腕の中で横になり、時間になって迎えの女房と帰ろうとしました。
御寝所を出る直前、
「静子…」
と仰る声が聞こえました。
はっとして女房の方を見ましたが、どうやら聞こえていなかったようです。
「尚仁様…」
誰にも聞こえないような声で呟き、御寝所を後にしました。

