平安物語【完】




「女御様、そろそろお渡りのお時間にございますが…」

いつまでも突っ伏している私に、送迎の女房が言いました。


―怖いけれど…逃げる訳にもいかないわ。

もし不快に思し召していらっしゃったら、素直に謝ろう。

私は、東宮様がいらっしゃらないと生きている楽しみなど無いのだから…


「わかりました。」

そう言って控えめな色の衣を選び、念入りに化粧し、髪をとかして立ち上がりました