平安物語【完】




―…その夜、東宮様のお召しがございました

表情には出しませんが、うきうきとした気持ちで支度をします


その時ふと、

―考えもしていなかったけれど、出過ぎた事をと東宮様に呆れられていたら…

という考えがよぎり、さっと血の気が引く心地がします


―中宮でもないくせにまるで自分こそが第一の妃であるかのような、上目線の行いよと思われていたらどうしましょう

それにくらべて御息所は、あくまで恭しく慎み深いことだなどとお思いになってしまったら…


一旦考え出すと嫌な思考は止まらず、もう突っ伏したまま消えてしまいたい思いに駆られます

…それもこれも、東宮様に惚れきってしまったが故の苦しみ…