平安物語【完】




すると真っ先に乳母がこちらへ帰って来ます


―簾近くまで出ていたことが知れてしまう…

でも、乳母が入って来るまでに奥に辿り着けそうもないわね

かえって慌てて見苦しいと叱られそうだわ。


そう思い、敢えてそのばに留まりました。


部屋に戻って来た乳母は、驚き呆れたような顔をして「…まぁ!」と言いました。

私がわざとらしく扇で顔半分を隠してにっこりすると、乳母は目を細めて私を睨みため息をついて、

「まったくいつまでも幼い姫君ですこと!

さっ早く奥へお戻りあそばせ。

他の者に見られぬうちに、ささ。」

と私の背を押さんばかりに促しますので、私は大人しく従いました。