平安物語【完】




「失礼をお許しください。

実は、こちらの女御様からそちらの姫宮様へ贈り物がございまして。

こちらのお文は、御息所様にお渡しくださいませ。」

と、こちらの女房が重々しく差し出すと、あちらの女房は恭しく受け取って

「これは有り難いこと。

姫宮様もお喜びあそばしましょう。

お文は、間違いなくお方様にお渡しいたします。」

と言い、見えない私の方に頭を下げて御息所殿達の後を追いました。


―さすがは御息所殿の女房。

立派なものだわ…


つつがなく事が済み、乳母と女房はほっとため息をついて微笑み合っています。