平安物語【完】




「私…ちょっと側まで行って参ります。」

やはりじっとしていられなかった乳母は、ついに部屋を出て庇の間(母屋の外)に行きました。


乳母がこんなにもそわそわしているのは、他でもない私の名誉を守るためなのです。

もしあの女房に粗相があれば、それはそのまま弘徽殿の主である私の至らなさとなります。


それはまた別としても、乳母が庇の間へ出て行ったのは私にとって好都合でした。

これで、こっそり簾近くまで行って様子を窺えますから―