「…様、姫様!!」

_遠くから声が聞こえる

「お茶会中に寝るなんて…ほんと眠り姫なんだから」
「まぁまぁ、いつもの事だから」
「ほら騎士様も早く座って!!」
「騎士は普通座らねぇだろ…」

_あぁ、そうか。これは夢だ。今目を覚ませばきっとこの夢は終わる。

「だからもう少し、もう少しだけ眠らせて」

目を閉じていても、優雅なお茶会の光景が目に浮かぶ。
綺麗なドレス。輝く宝石。色とりどりのお花とケーキ。お茶会を楽しむ声と笑い声が響く。

心地よく閉じている瞼に光が入り明るくなる。
声も遠ざかっていき、目覚めの時が近いことに気づく。

_これで終わり。分かってることでしょ、もう起きなくちゃ。

そうだ。この10年間ずっとこの幸せな物語を夢に見る。でもいつも、この先は見れない。
ゆっくりと重たい瞼を開こうとした時、誰かの声がはっきりと聞こえた。

「_ゆっくりおやすみ、僕のお姫様。もう二度と悲しい夢を見ませんように。」