帰りの車の中。助手席に収まるわたしに、後部シートから労いの言葉をかけてくれた若。結婚が決まって関係を清算する女達への手切れ・・・じゃなく、手土産だったのかと納得しながら。
「お役に立ててよかったです」
優しい社交辞令が染みた。とりあえず失望されなかった。大事なのはそこだ。
・・・もし、少しでも自分に価値があって、若の世話係は無理でも、結婚相手の若姐さんの世話係をまかせてくれたりはしないかって、かすかな望みを捨てきれてない自分もいる。
跡取りの若が誰かと結婚するのは最初からわかってたし、若にとって自分は家族の延長線のようなもので、女扱いしてくれてもそれは特別な感情なんかじゃない。
でも叶うなら、“妹”でいいからずっとそばに置いてほしい。微笑みかけてほしい。名前を呼んでほしい。若のためなら死ねる。ここにいたい、ずっと・・・!
膝の上できゅっと手を握りしめた。姐さんに、若姐さんの世話係を自分から手を挙げたら、やっぱり厚かましいだろうか。名取の家を出て自立するのが一番の筋なのは、これ以上ないくらい承知してるけど。
『じゃあ天音にお願いしようか』・・・って、若なら言ってくれそうな気がする。『これからも頼むね』って。
「お役に立ててよかったです」
優しい社交辞令が染みた。とりあえず失望されなかった。大事なのはそこだ。
・・・もし、少しでも自分に価値があって、若の世話係は無理でも、結婚相手の若姐さんの世話係をまかせてくれたりはしないかって、かすかな望みを捨てきれてない自分もいる。
跡取りの若が誰かと結婚するのは最初からわかってたし、若にとって自分は家族の延長線のようなもので、女扱いしてくれてもそれは特別な感情なんかじゃない。
でも叶うなら、“妹”でいいからずっとそばに置いてほしい。微笑みかけてほしい。名前を呼んでほしい。若のためなら死ねる。ここにいたい、ずっと・・・!
膝の上できゅっと手を握りしめた。姐さんに、若姐さんの世話係を自分から手を挙げたら、やっぱり厚かましいだろうか。名取の家を出て自立するのが一番の筋なのは、これ以上ないくらい承知してるけど。
『じゃあ天音にお願いしようか』・・・って、若なら言ってくれそうな気がする。『これからも頼むね』って。



