「天音はどれがいいと思う?」

専用の送迎車に同乗して、三つ揃い姿の若に連れて来られたのは、とある百貨店のジュエリーショップだった。ファッション関係にうとい自分でも知ってる海外ブランドで、どれ、と言われても、善し悪しなんて見当もつかない。

用途をまるで説明してくれないから考える。とりあえず女性目線で選びたいから、わたしの意見を参考にしたいんだろうか。指輪はサイズがあるし、無難にネックレスとかイアリングとか・・・?

相手が誰かは想像しない。若の女関係はブラックボックス、もしくはブラックホールだ。

「・・・・・・・・・・・・これ、は可愛いと思います、が」

目についたブレスレットを恐る恐る指さした。自分には200%似合わない代物でも、女ウケはしそうな気がした。ただそれだけ。

「じゃあそれにしようか」

・・・・・・きっと、どうでもいい女だな。付いてきた全員が思ったに違いないけど、みんな貝になる。

それから別のショップでも同じように、自分が指さしたアクセサリーを若が買い、・・・を繰り返し。わたしの両手は、六つの小ぶりなショップバッグで塞がった。

「助かったよ天音。個人的にお礼したい彼女達がいてね。天音はセンスがいいから僕も見習わないと」