精神科医の先生と会った翌日。
マスコミというのは、嗅ぎつけるのが早い。
瞬く間に、「惨殺事件」として我が高校の生徒が主犯だということが広まってしまった。
我が高校の教師達は、マスコミの対応に疲弊し。
学校の生徒達は偏見の目に晒され、体調不良の様な症状を訴える者も増えた。
そしてーーー肝心の。
「雪達の裁判の権で、何か意見があるものは?」
冴え冴えとした職員室の中。
誰も手を挙げない。
もう学校であんな事件が起こったんだ。
絶対にだが、誰も関わりたくないはずだ。
俺は息を呑んで。
「しばらく対応は、俺がやってやろう」
そう口走っていた。
校長は鼻で笑って、職員の目は冷ややかだった。
でももう、そんな事はどうでもいい。
テレビ取材の謝罪に、付き合ったり。
保護者の説明会で罵倒されたりと。
散々な目に遭った。
だけども、これが俺ができる最後の償いなのかもしれないと思ったら、逆らえなかった。
勇気のことを、周りの人間のことをよく考えなかった俺への贖罪は重い。
だけどそんな知らせから、一通のメールが。
それは、早羽からだった。
意識が戻ったのだ。
急いでメールの内容を見る。
そこには、松阪の為に雪に立ち向かうとのことだった。
裁判の証言人になるとのことだ。


