「そんな彼を、俺はーーーあそこまで追い込んだ」


「そうですか?そうには見えませんでしたけど………」



「だけど………もっと俺が何か、周りの人間を見れていたらこんな悲劇起こらなかったのかなって」



出てくる言葉が止まらない。



「だってもう、俺の頼れる2人はもうこの世から存在しないような形になっててーーー俺は教師を続けたいだなんて、嘘でも言えなくなって」



「貴方は………」



ゆっくりと俺は顔を上げた。



「貴方は、どうしたいんですか?任務とか、責任とかーーーそんな事は置いておいて」




「俺がやりたいこと………」




「そうです。教師としての自分らしい目標です」





生徒の為でもないーーー俺自身の目標。




「俺は、また二人みたいな教師がーーー教師としていられる居場所を作ってあげたい………そんな事しか言えないです」




「それも、立派な目標ですよ。どんな理由であろうともね」




「そんな事でもいいんですか?」



「人を不幸にしようなんてことは考えていないのでしょ?」




「でも、自分の事しか考えていない教師は結果としてこの結末を率いた」




「でも………全員が生徒の事を考えすぎるというのも、生徒自身が歩みを止めてしまう原因にもなってしまうでしょ?」




それもそうだと、妙に納得してしまうのはこの医師の力量か。


主治医は俺に肩を置いた。



「貴方には、まだ目標がある。希望はある。取り敢えずそれを指標として頑張ってみるしかない。僕にはそれしか言えません」



妙に納得して、俺は事務室を出る。




そして去り際に。



「あの……」




「何ですか?」




「教師の事恨んでないんですか?」




「恨んでないと言えば、嘘になりますね。たけど強くしてくれた恩があったと私は信じています」




「そうですか………ありがとうございます」



その言葉を聞いた瞬間、何かが心の中で決まった気がして。




そして、整った気がして。



速やかに晴れた、青色の空の下を歩く。