「教師から罵倒されても、彼は守ってくれた」
「へ?」
「僕は実は、不登校時代教師達から物凄く煙たがられていたんです。中学生の頃かな。2年生ぐらいの先生が特に険悪でしてーーー単刀直入に言うと晒されたんです」
「晒される………?」
「「クラスに来なかった一番の出来損ない残念賞」という証書をもらうといういじめを受けたことがあるんですねーーーおや、暗かったですね。ごめんなさい」
明るい話よりも、そういうダークな話を耳に入れたい気分だ。
「続けてください」
「そしたら、松阪くんが懸命に戦ってくれたんです。学校の為に。だけどーーーその学校は腐りきってた。隠蔽したんです。そして親は僕のことなんて興味もない、いわゆる毒親でしたからーーなることもなく」
終わったと言わんばかりに、笑った。
「じゃあ、ずっと………」
「えぇ、不登校でした。別の学校に行くというわけでもなく」
だからあんなに、松阪は先生という執着が凄かったのか………。
親友を守るために、動いた行動が正しいって思いたかった。
だから必死になって、不登校の勇気と主治医さんを重ねて助けようとしていたのか………。
「どうかしました?」
「いえ………別に」
なんでーーーこんな事情があることも知らずに、松阪のためを思って協力的にならなかったんだろう。
押し寄せる後悔の波が、心を潰していく。


