もう俺には教師という資格がないのか?



そもそも、教師という素質がない?



全てを打ち消すような気分になって、空を仰いだ。



さっきまで降りしきる雨が、突如やんだからだ。



真っ暗な傘。



「大丈夫ですか?」



その傘をさす人物を俺は知ってる。



確かこの人は、松阪のお友達である精神科医で勇気の主治医だった。



「どうして……?」




「それはコチラのセリフですよ。取り敢えず中に入りましょう。……といっても精神病棟であるのは変わりないですが……」




手招きをされて、一緒に病棟へ向かう。




別に行くところも無かったからというのもあった。



だけども、その病棟は松阪がいる場所だったからというのもある。



ーーー彼の温もりを感じたい。



そうふと、感じたからだ。