落下してしまった早羽は、直ぐ様別の救急病院に運ばれた。

虫の息のような彼を、俺は息を呑んで。


チューブにつながれた彼を、生き返るように神に祈るしか無かったのに。


その様子をあの魔王校長に伝えなければならないのが、もどかしくて怒りさえ覚えた。



「んで?どうしたらいいんだね」


ーーーどうしたらいいって。


「取り敢えずの事は、済ませるつもりだが、君はどうしたいんだね?」


「どうして……」



「はぁ?」




「どうしてそんな、他人事なんだ!!教師が一人死ぬかもしれないんだぞ!!!」



あまりの無関心さに腹が立ってしまって。



早羽を馬鹿にされた気持ちがして、心から嫌な気分になったからとはいえ。



俺も所詮は子供なのかもしれない。




だけども、早羽は俺にとって親友だ。



黙っているわけにもいかない。


「なぜって、僕は彼の事知らないから」



「知ろうとする、努力もここまで一切しなかったくせに!!そしてこの他人事の様な態度はないだろ!!!」


思い切り机を蹴飛ばして、職員全員たじろいだ。


夜の帳はまだ深く、長い夜になりそうだ。


すると、校長は舌打ち。



はぁ……、何故だ。



自分は勇気というめんどくさい生徒を俺達に押し付けてぬくぬくとしていたくせに。



どうしてそうも、偉そうなんだ。



なぜ舌打ちをされなければならない。



「さっきの舌打ち取り消せよ」


「うっさいな……勇気を不登校から動かせなかった教師が偉そうに……」



「俺は、全力で彼の事を支援したさ」




「でも、今も来てない。君だって駄目な教師じゃないか?所詮は他人事なんて言ってるけど、勇気くんの件だって他人事で考えているから、動かない。そうだろ?」



痛い所を突かれてしまい、ぐっと黙るしか無かった。



悔しいけど、俺が勇気の事が嫌いなのは周知の事実だ。



そしてもう二度と、関わりたくない生徒であるのも確かで。



でもだからといって、これは違う気もして。