「ちょっと、そこのお兄さん?いいですか?」

消防隊に呼ばれた。

意気消沈している早羽が行けるわけ無い。


「何でしょう?場所変えて話してもらえませんか?」

取り敢えず早羽をここにいるように命じて、ついていく。

意をけして、消防隊の後に続いて詳しく話を聞き出す。



そしたらーーー、松阪の嫁さんと娘さんは火事により死んだ。



そう告げられた。



もう遺体は隅々まで灰になり、修復できる状態じゃないとのこと。


そして、周辺の防犯カメラに映された様子を見ると、雪の取り巻きが映っていた。



大量のガソリンと、ライターを大量に買っている様子も映されていたのだ。



「取り敢えず………俺はどうすれば………」




「松阪さんと会っていただけませんか?」




絶句していると、後ろから肩を叩かれた。



「………ワイも行く」




振り向くと、険しい顔をした早羽がいた。



「お前………もう、帰ったほうがいいぞ」




「いいから、行かせてくれーな……」



無言で訴えかけられたものだから、仕方なく警察官に連れられて交番に。



そこにいたのは………意気消沈して座り込む松阪の姿があった。




「今日ね……朝、娘が参観日だから早く帰ってきてってせばまれたんだよ」



松阪はケラケラ何処か力なく笑って、そう言った。




力のない笑みを浮かべ、表情は見えない。



魂が抜けたような、そんな雰囲気が出てて。