「松阪!!松阪!!しっかりしいや!!!」



答えても、項垂れているため応答がない。



ただ、ずっと「家族が………家族が………」と手元が震えて呂律が回っていない状態だった。



「貴方達、危険です。離れてください」



消防隊が俺達を引き裂いた。




「何があったんや!!!答えてくれ!!松阪!!!………松阪!!!」



早羽はこういうストレスに弱い。



強い理不尽なことがあると、直ぐに理由を求めてしまうタイプで、動揺してしまうのだ。



親友の理不尽だから、尚更共感してしまっているのだろう。



「雪や………そうや、絶対雪や」



身をさすりながら、かがみながら早羽は言った。


「まだ………そうだとは決まってない。家族も………何処かにいるはずだ絶対……」




「それホントだって言えるんか!!!」




周りの目線が刺さる。



関係者と思われたら、何となく厄介だ。



「場所を変えよう」



震えて縮こんでいる早羽の体をさすりながら、近くの公園のベンチに座らせた。



「何でや、松阪は?」


「張本人なんだから、連れてくることできないだろ」




「………俺、夢見とるんとちゃうんかな?」




「残念ながら、現実みたいだ」



「もう………嫌や………もう嫌や!!!」



頭を掻きむしり、呼吸が荒くなる。




「落ち着け。希望はある!!松阪は生きていたじゃないか!!」