勇気の歌(Summerloveの前の話)


けたたましい声ととともに、生徒達が続々と集まっていた。



ーーー何だか嫌な予感がする。


駆けつけると、雪と対向する金髪でショートカットの女性が立っていた。




あの女性は見たことがある。



松阪先生のお嫁さんだった。




「あんた、どうゆうつもりよ!!!アタシの亭主いじめて!!!」




「どうもこうもって、アイツにチャンスを与えたのに歯向かったから、罰を与えただけだ」




「罰を与えるっていうのは、人を更生させる為にあるのよ!!!あんたのやってる事は、恐喝だわ!!!!」




凄まじい表情で唸る嫁さん。



こんなはっきりとした、女性は見たことがない。




帝王には向かう人間をまじまじと眺める右往左往など、眼中にもとめない無敵の強さがあった。




「おばさん、やるの?」




「言わずとも、やってあげるわよっ!!!」



間髪入れず、嫁さんは雪の右頬にパンチを入れた。



通常なら、女性である。


男性なら容易く避けられるはずなのだが。




嫁さんが早かった。




思いっきり右ストレートを食らった雪。




攻防も虚しく、手が空を切る。



そう、彼女は空手を元々習っていて黒帯。




松阪の嫁さんは全国大会に出たツワモノだから、それはもう武道に関しては達人の域なのだ。



直ぐ様逃げる取り巻き。



決して、雪が弱いわけじゃない。



松阪の嫁さんが強すぎるのだ。