「確かに君の生き方はそうなのかもしれない。見込みのある生徒を育て、そうじゃないのかなって思う生徒は見捨てる」
「そんなつもり……」
「あるよね?ーーー別に攻めているわけじゃない。世の中には色んな先生がいて、性に合う生徒も十人十色だから、仕方ないんだと思う」
手を離した。
「だけどね、それぞれの先生がこうあるべきだって自分の理想を押し付けてしまえばーーーそれこそ、学校が纏まらなくなる気がするんだよ」
「だけど…、これはーーーお前のためを思っ」
左手頬に鋭い痛みが走る。
目を向けたさきには、涙目になっている松阪が。
「僕はね、自分の為に勇気くんや、雪くんを責めないんだよ!!」
「自分の……為……」
「許せないからこそ、許すんだよ。そうじゃないと僕がーーーぼくの心が真っ黒な悪魔だって証明されそうで怖いから、許そうとしてるんだよ!!!どうして、どうしてそれを分かってくれないの!!そんな事言いたくないよ!!言わせないでよ………」
やっぱりそうか………松阪も許せなかったのだ。
たとえ教師であっても、傷つくものは傷つく。
どんな職業でも所詮人間。
何でも、していいわけじゃない。
だけどもどうしてーーー。
「それなら、それなら辞めればいいじゃないか。その肩を張るような考え方も、身を削るような守り方も。これ以上お前が傷ついて、何を得るんだよ………。泣き叫んでるじゃないか。お前の心が」


