「ほら、松阪!!やってやれ!!」
雪が何かを投げ込んだ。
それは銀色に瞬く、ライター………。
「そこにいる、そいつーーーゴミを燃やせよ」
背筋が凍りつくような、そんな悪寒を覚えたのはきっと雪の殺意が伝わったから。
絶対に逆らうことはできない、絶対無的な王子。
逆らえば、命はないしーーー松阪は勇気のことを恨んでいない事は絶対にない。
誰だって、悪口を言われてしまえばーーームカつくさ。
だけども、教師だからという理由で我慢しているだけでーーー。
だけども、最近の松阪もかなりのストレスがあったはずだ。
俺達の事を気遣って、校長の悪質な嫌がらせの真相を知ってしまいーーー正気で居られるわけない。
「十数える。その間に、殺せ」
カウントダウンが始まる。
一歩ずつ近づく松阪。
ゆっくりと火を付ける。
やめろと叫んだ。
だが早羽に止められ、ふと顔を上げると野次馬の中に校長が。
目線が合う。
彼は目を閉じ、姿をひるませた。
カウントダウンが一に。
炎が一面に広まる。
その瞬時、パシッーー!!
という音が聞こえた。
目の前が火の海から、水が割り込み鎮火。
隣を見ると、ホースをもった校長。
目の前を再び向くと、松阪と勇気が横に倒れていた。
燃えている箇所はない。
火を付けるふりをして、庇ったのだ。
松阪が。
勇気の顔は、少し腫れている。


