「それって………」
「それをズルズル踏み出さないで、歩いていれば校長に。これが僕の人生だった」
なんだか、不意に怖くなって。
全ての俺自身の未来を予言されているようで。
「ありがとうございました。時間が来たので」
俺は逃げ帰るように、校長室、職員室を跡にした。
「あの人がーーー俺の未来だったりするのか?」
俺は確かに教師を辞めたいなんてほざいていた。
だけど今はなんだ?
起業や、転職がしたいなんて願っていて、結局は何も行動していない。
ただ、ただ言い訳としてお金を貯金している毎日。
早羽と松阪がいれば、なんとかなるんじゃないかなって心の中で思っていて。
雨が降ってきた。
車に乗り込もうとするけれど、手が止まる。
そのまま、また明日がやってくることが、異様に震えて。
「俺は………どうしたらいいんだ?」
降りしきる雨の中、ただただ俺は立ち尽くすしか無かった。


