「あぁ!!!もういいよ!!!僕はね、今度こそ上手くやるから!!!!歌い手になって皆を見返してやるんだから!!!!」
そう勇気はありったけの工具を俺達に投げ捨て追い出された。
無理やりここは連れ出せばよかったのだろうが、歌い手とやらの活動をする機械を壊しそうで困難だった。
勇気の趣味を今度こそ奪ってしまえば、本当に殺されそうというかーーーー。
「ワイ、あんな目が血走ったーーー殺意に満ちた生徒ーーー見たことない………。苦しんでんのか………?アイツは………」
あまりの惨さに、同情するしか無かった。
「俺達の力不足でお力になれず………すみません。また後日連絡いたします」
必死に背中を擦っていた、松坂と合流しお母さんと話して結果がこれ。
頭を下げて、俺達は泣く泣く帰ることになってしまった。
「ワイら………教師失格やったんやな。思い知ったわ。馬鹿みたいや」
「………そんな事言わないでよ。どうしたらいいか………分からなくなるじゃないか………」
「二人とも、少し静かにしてくれ」
真っ赤な夕日が、俺達を漬け込む中。
勇気の家を背に、暫く歩いた。
すると歌が、耳に染み込んだ。
それは透き通るような、聴くものすべてをも包み込むような優しい歌が。
「あれって………勇気くんだよね?そうだよね?」


