押し黙った。
続けて俺は答える。
「退学を促されてないだけ、お前は受け入れられて入るんだよ。そこだけは分かってやってくれ。きっと、この学校にまだお前のことを思ってくれている先生は居るってことなんだよ。心の底からな」
「………嘘だ………嘘だ!!!」
勇気は膝からまた、崩れ落ち泣き始めた。
「誰も僕の事を観ようとしなかった………。2年の体育祭の時ーーーー僕を避けた先生がいたんだよ!!!仲間だと思っていたのに!!!」
事前に聞いたことがある。
発達障害を持つ子供というのは、何処かしらに人に依存心を持ちやすいということを。
ちょっと優しくされたら、直ぐに友達と認知されてしまうような、心の甘えが出てくることがあるという。
彼もその代表なんだろうか。
それはきっと、障害を持ったゆえに世間からへし折られてしまった自尊心の裏返しなんだと思うとーーー気の毒だ。
「まず、お前勘違いしてないか?先生は生徒と友達じゃないんだぞ?」
「でも………先生ってのは、生徒を一生懸命に受け入れて守っていく神みたいな存在だろ!!!」
やはり、そうか。
さっきから聞いてると、あまりに勇気という生徒は「自分軸」を通して話が出来ていない。
傷ついているのか……。
それは、何からか。
学校、世間、教師達が、障害を深く理解できていないからゆえの「依存」………。


