勇気の歌(Summerloveの前の話)


流石に聞いていて心が痛ましい。


だけどその話を聞いて、尚更勇気が甘えているとしか思えなくて。



「勇気と話をさせてください。俺だけでもいいので。お願いします」


「………勇気を救ってください。部屋は二階です」




母親に許可をもらい、勇気の部屋の前に。



「……ワイも来て、良かったんか?」




「暫くは松坂に母親を任せて、2人で何とか話してみよう」



「………分かったわ」




扉をノックする。



乾いたノック音が、ピリピリとした緊張感を放っていて何とも言い難いような、息苦しい空気が漂っていた。



扉がガチャリと開く。



鍵をかけていたのか。



「入るぞ?」



部屋は薄暗く、物置部屋とした電線コード散らばる部屋。



何だかエイリアンの部屋のような変貌具合に、胸ぐらを掴まれるようなそんな恐怖を覚えた。



その部屋の中心部に。


ノートパソコンを広げて、毛布にくるまりうずくまっている勇気の姿が見えた。



「勇気………俺だ。修だ」




「………なんのようなの?」



相変わらず人と目線を合わせようとしない。




「家庭訪問で、お前の様子を見に来た」



「それって、校長からの指示?」



「お前………」



「僕の事正直なんとも思ってないんでしょ?というか、嫌いでしょ?修先生」



「お前………せっかく修が足運んで来てくれたんやぞ!!そんな言い方ないやろ!!」



勇気は舌打ち。