それはぶっちゃけ、職員室内でも勇気のことを腫れ物扱いしていて誰も受け付けたくないとも言えないというのも一つある。
それと一つは、「そちらの教育は正常ですか?」と文句を付け足したいぐらいの反動もあって。
それらの不満が混ざり合い、どう口に出していいのか分からず、尻込みしている。
「ーーー貴方は………貴方は、どうしたいんですか?」
ゆっくりと俺は声を絞り出す。
「俺は………いや、私は教師として最善を尽くして来たと思ったことが………今正直この一件で崩れてきてると思うんです」
「それって………私が悪いって言いたいんですか!?!?」
「ーーーだったら、言いましょう。彼に少しこういう障害があるかもしれないと」
勇気の母親に全てを話す。
学校で起こったすべてのことを。
その話を聞く表情を見ると、すべてを悟った様な悲しい表情を彼女はしていた。
だけども、俺は淡々と話していて変な感情移入はしなかった。
それはとても悲しいことなのかもしれない。
っていうか、悲しいことだ。
教師としてあるまじきこの無関心。
だが、実際俺は勇気のことを好きにはなれないからこそ起こる拒絶反応であって。
「というのが、すべてです」
2人の様子を言い終えた時に見たら、顔が固まっていた。
早羽は目を見開いて、口を開く。
松坂は俺を静かに睨んで、小突く。
だが俺は辞めることはしなかった。
れっきとした事実だし、本人の本当の意味での自立にはならない気がしたから。


