「あら、有難うございます。隣のお二人方の先生より優秀なのですね」


嫌味を言われてしまった苦しみを飲み込む。



ここで俺が行動しなければ………。


「あの、勇気の部屋に直接迎えに行ってもいいですか?俺……心配なんです」



ウソだ。



本心ではなんとも思ってない。



仲間である同業者をこんなにも困らせるような生徒など、人生がどうなろうが構わない。



だけども俺は、皮肉にも教師。



生徒の為にならどんな手段を使ってでも、守り通さなければならないという使命を課せられた奴隷であるからして。



「……でもね修先生、貴方勇気の事嫌いでしょ?」



「え………なん……」




潔く許可が下りると鷹をくくっていた俺は、不意を突かれた。



「ずっと、私は学校側に担任が倒れてしまった時に頼み縄として貴方を勇気に頼むように校長にしてたことその様子だと知らないみたいですね」



「そんな話聞いてなーーーいや、ません」



「その………僕も聞いてないんですけど誰に頼んだんですか?」



「修先生が忙しそうにしていたから、校長に直接言いつけてたんです」



「あの野郎………漬け込んだんやな……」



苦し紛れに呻いた早羽。



「さっきからブツブツとそちらの都合を話していますがーーー」



全ての話を聞かれていたのだと、肩を震わせビクリと俺達は身を固めた。


「生徒の事を助けたいと願っているのなら、どうして……勇気が不登校になる一ヶ月前に家庭訪問なりなんなり訪問してくれなかったのですか?」


どう答えていいのか分からなかった。