「……悪いのですが……もう少し待ってくださいね………」



早速勇気の家に来たのは良かったのだがーーー3時間以上畳の上で座らせっぱなしの俺達。



少しずんぐりとしたお母さんには申し訳ないのだが、足を伸ばしたい。



勇気のお母さんには申し訳ないのだが、全然似ていないというのも目がついて。



「なんか……お母さんも切羽詰まってるんやな。話聞いてると」



「そうみたいだね………なんか、お母さん自体も手を焼いてるって感じだよね」



「半分甘えてるって感じもするけれどな」



話の内容は、息子が学校に行きたがらないとのこと。



その理由はやはり、雪にいじめられており学園の標的になっているストレスから不登校に。



母さんの目を見たら怒っているような瞳を宿していたのだが、言及せず「どうしたらいいんですかね………」とため息を吐いていた。



声を荒らげて俺達教師を責めないのは、お母さん自身も勇気がどこかおかしいと感じているのだと分かった。



「何だか……発達障害を持つっつーことは残酷なことなんやな。自分の子供を……信じられへん時がくるっちゅーことなんかもしれへんし」



「お前、自分の生まれてくる子供と重ねてんじゃないだろうな?」



「そりゃ、重ねるやろ………。赤子が生まれるのなら尚更や。デリカシーないやつやのー」



「二人とも、静かに」