「……それで、ここか?勇気の家っちゅーんは?」


スマホを指さす早羽。

学校を出張という定義で休んで、勇気の家庭訪問の日。



「でもさ、やっぱり言った分際で悪いと思うんだけど……僕達三人で来るなんて………何だか変な気分だよ………」



「修一人だけでええっちゅうのに、なんでワイら二人も………」



「早羽はあいつが発達障害があるって言ってたじゃないか。俺が一人で出向いたって、発達障害に詳しいわけじゃないし、一人で出向いたところで、話が通じないのは目に見えてるからな」




「そない言うたって、発達障害の事を薄っすら知ってるワイら三人集めた所で、文殊の知恵どころか、藁の知恵やで!!」



「………試されてるのかもね、僕たち。校長に」



最速で乗った電車の中。



急停車したのか、体が揺れる。



「あー!!ムカつくわ!!校長は何を考えてるねん!!」



「多分だけど………僕達の事が気に食わないとかそういう理由もあって、面倒事を押し付けてるってものもあると思う。でも、それだけじゃないって僕思う」



「それはどうゆう理由だ?」



「先生としての在り方っていうのを僕達で試しているんじゃないのかなって」



妙に静けさを増した電車の中。


言葉がこだましたように、その言葉は心に妙な浸透感を植え込む。


ーーー先生としての在り方………。



「どうしてそう思う?」