「勇気くんの事、よく知らないし……」
「まぁ、ワイもアイツ確かにとっつきにくい。
正直」
「具体的には何だ?」
「俺が出産祝いで育休を貰おうとしてた頃や。
勇気と同じクラスメイトにサプライズパーティーを祝われたんや。
ぎょーさんデカい花束を、抱えながら持った勇気がおってな」
苦しそうな。
まゆ毛を縮めたような表情を、早羽は浮かべた。
無理やり重大なプレゼント渡しを勇気が受けとるといういじめ。
そう俺は思いたかった。
ーーーだけど。
「アイツ、何つーたと思う?
「子作り頑張りましたね。
おめでとうございます。
早羽先生」やで?」
ふと、目線を上げた先。
酒場の店主が顔を細め、口をへの字に曲げていた。
こちらをの様子を見ている。
バッグにはご老人の子供が愉快に手をこちらに向けて振っている。
松阪が手を降りそうなっていたのを、頭を叩いて止めたが。
「だがアイツの事嫌いになれへんのや………。
お前のように、殺したいと思っても、殺せへん」


