嫌だったんだ。気持ち悪かった。
どうすればいいのか、分からなかった。
あの時、あの場で私は何かした方が良かったのだろうか。
「うーん、そうだなあ。気持ち悪かったなあ」
はははっ、と涙が出そうになるのを必死に我慢しようと笑って見せたけど、いつの間にかドラマから私へ理人さんの視線が移っていた。
「無理して笑わなくていい」
「あ……」
そんな真剣な顔、出会ってから初めて見た…。
「母親と話せ」
「え?」
「お前が今思ってる事とか言いたい事全部、母親に話した方がいい」
「そんな、無理ですよ」
そんな事したら私何て言われる?
もしかしたら本当に…。
ひとりぼっちに。
「怖いなら俺も一緒についてってもいい」
「無理無理っ、何言ってんの?ありえないって」
「このままにしてると、ずっとこれから先拗れたまんまだぞ」
「理人さんに何が分かんの。私、そんな事言われたくて言ったんじゃない!ただ、話聞いてほしくて…」
いつもみたいに“うんうん”って頷くだけでいいのに。

