「連絡先交換しようって言った時断ったのは誰ですか」
「……あ」
「私、理人さんの連絡先知りません」
「マジ?あんなに会ってたのに?」
くくく、とまた口元に手をやって笑っている理人さんになんだかなぁと気が抜けてしまう。
年上らしさが見えれば途端に子供らしくなったり、いたずらっ子のように笑う理人さんに調子が狂いっぱなしだ。
「……じゃ、俺らはもう帰るよ」
「え、依織くんもう帰っちゃうの?」
「帰るよ、仕事もあるし」
理人さんが頼んだチーズドリアを運んで来た朱音さんも名残惜しそうにしていた。
お会計を済ませた後、彼は理人さんに近付きグリグリと頭を撫で回した。
「じゃあな、理人。お前ちゃんと仕事来いよ」
「っ、分かってる」
嫌そうに、でも満更でもなさそうに「やめろ」と言ってその手を振り払った。
「翠ちゃんも、ゆっくりしてってね。あ、理人に何かされたら俺に言って。ボコボコにしてあげるから」
「え、あ、はい」
「ハイじゃねぇわ」

