「なんか、奏汰さんっぽい気がします」
「あー、言われてみればそうかも」
私の知らない理人さんの話や奏汰さんの話を最近の出来事のように、楽しそうに朱音さんは話してくれた。
奏汰さんの仕事先が決まった時の話や理人さんのマイペースでサボり癖には困っているだとかそんな話を。
「…あ、やば。めっちゃ話しすぎた、」
「全然!面白かったです。それに、朱音さんがあの2人を大事にしてる事が十分に伝わりました」
「やめて、恥ずかしい」
私がそう思うくらいだから多分あの2人にも十分伝わっているはず。
「本物の家族みたい」
想いあって想われて、お互いを大切にしている。
普段から言葉にしないのに何故かそれが相手にも伝わっている。
「…………」
「あ、薬ちゃんと飲みました!」
「え、あ、あぁ。理人はまだ帰って来ないと思うからゆっくりしてて。何かあったら俺1階にいるからいつでも言って」
「理人さんお仕事なんですか?」
「いや、ちょっと呼び出しかな」
「呼び出し?」
「ほら、理人はサボり癖があるから」
「あぁ、なるほど」
理人さんが帰って来たのはそれから夕方になった時だった。

