結果的に本人確認は本当に甘かった。
思っていたよりすんなりと入れて、2人で顔を見合せたくらい。

中は薄暗くネオンや間接照明が所々にあってまさにSNS映えだった。
STRAYCATSと店名にしているのもあって猫をモチーフにした雑貨やインテリアがセンス良く置かれていた。

薄暗さのせいか少しだけミステリアスな雰囲気が漂っていた。


「うーわ、凄すぎ」


階段を降りていくと音楽が聞こえ出し、想像通りのクラブが広がっていた。

流れる洋楽の音楽に20歳くらいの男女が話していたりお酒を飲んだり、……イチャイチャしていた。

もちろん真ん中で踊っている人もいる。
ユズに手を引かれるがまま私達もそれとなく真ん中のフロアに立ちユズは楽しそうだった。


「ユズ!」

「ん?」

「私、向こうに居るから!」

「えっ、なんでよ。一緒に居よーよ!」

「ちょっと人酔いした」

「えっ」


人混みに耐性がないのか昔から人酔いしやすく、ここも私にはまるでダメだった。

残念そうな表情をするユズにあそこに居るからと指を指し示すと「分かった」と返事が返ってきた。