「めちゃくちゃ美味しいです!」
「ははっ、良かった」
「朱音さんってお料理上手なんですね!あ、そっか、カフェやってるから当たり前か…」
「まぁ、勉強はしたけどこんな風に美味しそうに食べてもらえると嬉しいよ」
「よく料理されるんですか?」
「そうだね、ほぼ毎日」
カウンターに置かれていた椅子に座り、お粥を食べる私をニコニコしながら見る朱音さん。
「奏汰と一緒に住んでるんだけど、あいつ料理全く出来ないからさ自然と作る羽目になるんだよね」
「えっ、同居してるんですか?」
「うん。理人にジャンケンで負けちゃったから…」
「ジャンケン?」
最初はここでお店を始める事になった時にお店から徒歩10分位のアパートに3人で一緒に暮らすつもりだったらしい。
「金も無かったからね。だけど住む人がいないからって大家さんの厚意で無料でこの2階部分の居住スペースも貸してもらってるんだ」
「そうだったんですね」
「そしたら誰がここで1人で住むのか、って話になるだろ?」
「確かに…」
「俺が1階で店やってんだから普通俺だよな。そしたら奏汰がジャンケン1発勝負だろって言い出して」
「自分で言ったのに奏汰さん負けたんですか?」
私が笑いながら聞くと「そう!アホだよな」と朱音さんも笑いながら言った。

