次に目を覚ました時には外はすっかり明るくなっていた。
起き上がると、昨日よりも体が軽く熱が下がったのが分かった。
ベッドから立ち上がり、寝室の外に出るとそこはリビングが広がっていた。
ダークブラウンの木目調の家具で統一された部屋。
所々に植物が置かれていてお洒落だった。
よく見ると個性的な柄のマトリョーシカやアンティークなインテリア雑貨が置かれている。
「あれ、翠ちゃん?」
初めて見る理人さんの部屋に夢中になっていたら、背後から名前を呼ばれ思わず振り向いた。
「あっ、えっと…朱音さん?」
「覚えててくれたんだね。それより、体調は大丈夫?」
そう聞きながら朱音さんはキッチンの前にあるカウンターテーブルに持っていたトレーを置いた。
「大丈夫です。熱も、多分下がってると思います」
「そっか、良かった」
「すみません、朱音さんにまで迷惑かけてしまって…」
「気にしなくていいよ、面白かったし」
ふふっ、と何かを思い出しながら笑う朱音さんに首を傾げると「昨日理人がね、」と話を続けてくれた。

