母が帰ってきたという事は必然的に夜ご飯を作るのは私で。
「できたよ、お母さん」
「ありがと」
いつもはお茶漬けや買ってきたパンとかで済ませてしまうからちゃんとしたご飯を作ったのは久しぶりだ。
お風呂上がりでまだ髪が濡れたままソファに座ってテレビを見ていた母を呼んで私は2階へ上がろうとした。
「翠は食べないの?」
「お腹空いてないから」
ヘアクリップで髪をまとめ、その後何か言いかけた母に背を向け2階へと足を進めた。
お互い、別の空間にいた方がタメになる。
気が楽だろう。私だってそうだし。
なにより無言の中で食べるのも嫌だし、だからといって無理矢理会話をされても困るけど。
ああ、やっぱりこの3日間ユズの所に泊まろうかな。
いやでも流石に3日間は迷惑をかけてしまう。
…ていうか、母親がいる間夜にコンビニ行けないじゃん。
夜中抜け出せば出来ないことはないけど見つかった時の事を考えるとゾッとする。

