いつもはスーツ姿なのに今日は珍しく私服を着ている。
ソファに座りローテーブルに置かれたアイスコーヒーを飲みながらくつろぐ母を見ながら私もリビングへと足を入れた。


「そういえばもう夏休みなのね」

「うん」

「課題はきちんとやってるの?」

「やってるよ」


…あぁやっぱり。

この妙にピリついた空気が私は昔から苦手だった。


「まぁ、当たり前よね。来年は受験生なんだから課題だけじゃなくて自習もしておきなさい」

「…うん」


どうして帰ってきたのか、なんて事を聞くことさえも面倒くさく感じる。
母親が帰って来ると途端にこの家は私の居場所を失くすのだ。