7月に入ったばかりだというのに、気温は真夏並に高く暑苦しい日が続いていた。
おかげでハンディファンが欠かせない。
「ねぇ、お願い!翠が嫌だって思ったらすぐ帰ろ?」
「………」
「新作のフラペチーノ奢るから!」
……あぁ、やだやだ。
何が1番嫌だって、私の心が揺れてること。
こうなったユズがしつこいのは分かりきっている。
そしてどっちみち私がついていく羽目になることも。
「…」
後ろにいるユズの方を振り返ると、ピシッと背筋を伸ばして眉を八の字にして私の様子を伺っている。
「……新作フラペチーノ、2回分ね」
「え"っ」
「何?やなの?じゃあなしだね。1人で行ってらっ…」
「分かった!分かったから!2回分ね!」
とことん私も甘いんだと思う。

