《合格おめでとう!》


ユズからのメールに微笑んでしまう。
ユズは私と違って専門学校志望で去年にはもう進学が決まっていた。


合格発表はまだだけど、ひとつの区切りとして卒業式の数日後改めて挨拶しに来てくれた佐伯さん。


『あ、改めまして。佐伯悠輔ですっ、』

『……はい、知っています』

『あっ、さ、聡美さんとお付き合いさせていただいています!』

『………』


1度会った時よりも緊張しまくっていて、もはや呆れるくらいの状況。


『聡美さんも翠ちゃんも、絶対幸せにするから』

『…私はともかく、母を幸せにするのは当たり前だってこの前も言いました』

『ちょっと翠…』


なんとなく気に入らない私は少しだけ反抗して見せたりする。
その度に佐伯さんの表情に緊張が走るのが少しだけ面白かった。


『…結婚なんて、ただの形でしかないから。僕は聡美さんと翠ちゃんがいればそれでいいんだ』

『………』

『翠ちゃんが僕と過ごすのが嫌…なんだとしたらえっと……』


…完全に私が悪者みたいじゃん。


だんだんと声が小さくなっていく佐伯さんにふぅ、とため息をついた。


『……もうお母さんの好きにしていいよ』

『翠…』

『それに私には理人さんがいるし』

『っ、ありがとう、翠』


お母さんはぎゅっ、と抱き締めてくれた。


『…あの、“理人さん”って?』

『『………』』

『え?翠ちゃんもしかしてっ、』

『本当にありがとう翠』

『ちょっ、聡美さん!?僕聞いてないよ!?』


こうして佐伯さんと一緒に暮らす事が決まった。