画面に表示されているのは《お母さん》という文字。


「あっ、お母さんに言ってない!」

「は!?ばか!早く出て報告しろ!」


理人さんに急かされて急いで電話に出るとすぐにお母さんの声がした。


『翠?結果、どうだったの?もしかして駄目だった?』

「ううん、合格してた!ごめん言うの遅れて」

『合格!?ほんと!良かった〜……。全く連絡が無いから心配したじゃない!』

「ごめんごめん。私も驚いちゃって」


はぁ、と大きく息を吐いてホッとしているのが電話口でも伝わった。
すると、お母さんの『ちょっと、』という声と共に聞こえてきたのは例の男。


『っ合格!?本当に!?翠ちゃん!!』

「はい」

『おめでとう!本っ当におめでとう!!』


電話だったら全く緊張していなくて、実際に会うといつも緊張しているのはなんでなんだろう。


『今日は早く帰るから翠が食べたい物考えといて!外で食べよう!』

「うん、ありがとう」


お母さんのそんな声の後ろで佐伯さんが『良かった!流石聡美さんの娘!!』なんて言っている声が聞こえる。


「親御さん、なんて?」

「おめでとうって言ってくれました」

「今度、2人でどっか行くか。合格祝いで」

「いいのっ?」

「いいよ、どこでも好きな所連れてってやる」


その後、ご飯を食べに行くと伝えると理人さんはいつもみたいに家まで送ってくれた。

そして夜、3人で私のいないお祝いパーティーをやっているんだと奏汰さんから写真付きのメールが来た。