「おめでとう、翠ちゃん」


ようやく落ち着いた時、朱音さんが奥の冷蔵庫から可愛いお洒落なケーキを持って来てくれた。


「えっ、もしかして作ってくれてたんですか?」

「もちろん。絶対合格に決まってるって理人がしつこいくらい言ってたから」

「いっ、言ってねぇわ!」

「今更照れ隠しすんなよ」

「はぁ!?」

「朱音!酒だ!今日は祝杯だ!」

「はぁ?お前が合格したわけじゃねぇだろうが」


朱音さんが作ってくれたケーキは本当に美味しかった。
《合格おめでとう》とチョコレートで書かれた可愛らしいケーキをずっと見つめていると「喜んでもらえて良かった」と朱音さんは照れたように言った。


「理人も嬉しいだろ」

「嬉しいも何も。俺と会う時間削ってまで勉強してたんだから合格するに決まってる」

「ほんっとにお前は……」

「なんだかんだ色々心配してくれてたくせに」

「なっ、」

「えっ、マジで?」

「差し入れとかしてくれたんですよ。夜来てくれて」

「「わぁ」」

「言うな!!」


私のスマホの着信音が鳴り響いたのはそんな会話をしている時だった。