「え…?」
「まだ初心者マークあって格好つかないけど、車の免許取ったんだよ」
「えっ!!凄い!!」
車は依織さんに借りたらしい。
前に言っていた通り本当に免許を取るなんて。
というか、いつの間に。
「翠が頑張ってたから、俺も頑張ろうと思って」
これで遠出もできるようになっただろ?と嬉しそうに話す理人さんに私もつられるように笑顔になってしまう。
「はい、どうぞ。卒業生さん」
「……ありがとうございます」
乗り込むと、車内にはほんのりと煙草の匂いと理人さんの香りがした。
「煙草…」
「あ、煙草臭い?依織くん煙草吸うから匂い残ってるかも。窓ちょっと開けようか」
「そういえば、理人さんも煙草吸ってましたよね?」
「俺は別に…、吸わなくてもなんともないから」
クラブで初めて会った時、理人さんが煙草を吸っていたのを思い出した。
会うようになってからは煙草の箱さえも見ていない。

