12月12日。

宣言通り理人さんは予備校まで迎えに来てくれた。
黒のダウンジャケットを着て寒そうに電柱に寄りかかっているのを見つけた時は嬉しくて堪らなかった。


「理人さん!」

「ん、おつかれ」


ふわふわと白い息を宙に浮かせながら、上着に顔を埋めている。
少しだけ見えた鼻先が赤くなっていて可愛い。

渡された温かい缶のココアにお礼を言うとふわりと笑顔を見せてくれた。


「寒かったですよね。あそこのコンビニの中で待ってたら良かったのに」

「いーの。早く帰ろ」


駅の近くにあるビルの中に予備校があり、同じ制服を着た数人の女の子がチラホラと出てくるのが分かった。


「…これ」


そっと繋がれた手は相変わらず温かくて大きい。
少し離れた駐輪場にバイクを停めてあるから、とそこまで2人横に並んでゆっくりと歩く。

そんな時に手渡されたのが可愛らしくラッピングされた袋だった。


「え、もしかして…」

「…期待はすんなよ。何がいいとか分かんなかったし」

「開けてもいいですか?」

「うん…」