「今年は俺も翠の誕生日祝うから」
私の誕生日もこの季節の12月12日。
去年は修学旅行中だったし、理人さんとは距離を置いていたせいか気付けばお互い誕生日を祝えなかったのだ。
ついこの間、『そういえば翠ちゃんの誕生日っていつなの?』と奏汰さんから聞かれ教えると一緒に居た理人さんは大きな声で『はっ!?』と反応していた。
「なんでバレンタインの時言わなかったんだよ」
「私も忘れてました…」
「ったく…」
「でも、平日で学校あるし放課後は予備校があって…」
「はあ?誕生日も勉強すんの!?」
「本来、受験生に誕生日もクリスマスもないんですよ」
私達の予定はすれ違い気味で。
納得いかない、という理人さんの視線を掻い潜って目の前にある切り分けられたチョコレートケーキをひと口頬張った。
「俺、休み取ったのに」
「ありがとうございます。でも、私の事よりゆっくり休んでください」
「……帰り迎え行くから。何時に終わるか連絡しろよ」
「理人さん、私の事大好き過ぎません?」
「なっ、」
顔を赤くして口をパクパクさせた理人さんにぷッと吹き出してしまった。
「もう迎えいかねぇ!!」
「えっ、嘘嘘!来てよ!会いたいです!」

