『…ありがと』
『今年は当日に祝います!』
『受験生だろ、勉強しろよ』
『息抜きにもなるから大丈夫です!』
『ふーん』
言葉は素っ気ないのに、表情がそれに伴ってない。
嬉しそうな表情をする理人さんに朱音さん達と一緒に笑ってしまった。
そんな時にカランカランとドアを鳴らして入って来たのは依織さんだった。
『お、やってるやってる』
『え!依織くん!』
『うおっ、』
依織さんを見るなり駆け寄って抱き締めた奏汰さん。
まるで子供みたい…。
『奏汰は依織くん大好きだから』
『そうなんですか…』
満更でもなさそうな依織さんを見てると、やっぱり慣れているのか抱き締められている上で平然と理人さんと話していた。
『翠ちゃん、お久しぶりだね』
『お久しぶりです』
『その節は本当にありがとう』
『いえ、私は何も』
座って、とカウンター席に一緒に座ると依織さんは私達を見回してにっこりと微笑んだ。

