「だから、惹かれたんだと思います」



……一体、今理人さんが何を言ったのか。
一瞬、本当に分からなかった。

ひかれた?何が?どういう意味?


「翠さんがもし高校を卒業しても僕と一緒に居てくれると言うのなら、僕はそれまで待つつもりです」

「な、理人さんっ?」

「………良いわ。でも、条件があります」


もはや私抜きで話をしているみたい。
2人は追い付いていない私を置いてどんどん話を進めている。


「…何でしょうか」

「職業は問わないからきちんと仕事をして、翠の事を幸せに出来るなら許してあげる」

「…お母さん」

「私が言うのもなんだけど翠は…、娘は私の命よりも大切なの。ご両親がいないことなんて関係ない。貴方が翠を泣かせるような事があったら、私は許さないから」

「はい」


その後も少しだけ話していると、外はもうすっかり暗くなっていた。


「…今日はもう帰りなさい。貴方にも遅くなったら心配してくれる“家族”が居るんでしょう?」

「アポも取らず急な訪問になってしまい、申し訳ありませんでした。今日は話せて良かったです。ありがとうございました」

「いいのよ、別に。こちらこそありがとう」


見送る為に外に出ると、バイクに跨った理人さんと目が合った。