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繋がれていた手はいつの間にか何事も無かったかのように離されていた。

理人さんの家から最寄りの駅で降り、駐輪場に停められていたバイクに乗って私の家まで送ってくれた。


「ありがとうございました」

「俺も、ありがとう。助かった」


いつものようにコンビニまででいいのに、いつしか理人さんは私の家まで送ってくれるようになった。


「…親、今居んの?」


駐車場に停められていた車を見て、理人さんは私に聞いた。


「車があるし、多分居るかと…」

「へぇ」

「何かありました?」


しばらくの沈黙の後、意を決したように真面目な表情をした理人さんと目が合った。


「……ちょっと、挨拶してもいい?」