目的の駅に着くと、理人さんと時折スマホで場所を確認しながら案内通りに歩いて行く。
そこは海沿いの見晴らしのいい綺麗な霊園だった。
「ここ…か」
「みたいですね」
木や花が所々に植えられていてとても綺麗な場所だった。
「…ここら辺って依織くん言ってたんだけど」
「名前は確か雨音さんでしたよね?」
「そう、菅野雨音…」
理人さんが見ているスマホを見てここら辺だと言うお墓の名前を確認して行く。
「…あ、」
いきなり立ち止まった視線の先には2人の名前が彫られていた。
「ありましたね」
「ど、どうすればいいんだ?」
「とりあえず買ってきたお花を供えましょう。そして線香も」
「お、う」
理人さんの両親の名前が彫られたお墓。
とても綺麗で手入れされているのがよく分かる。
私も慣れない知識を理人さんに共有して一緒に手を合わせた。
理人さんを産んでくれた感謝と彼は今周りにどんなに愛され大切にされているかを心の中で語って隣を見ると手を合わせたまま目を瞑っている理人さんが居た。
「何てお話したんですか?」
「…とりあえず産んでくれてありがとうと、元気にやってるって言った」
「私も同じような事言いました。いかに理人さんが愛されているのかを」
「なんだそれ」
…あ、理人さん笑ってる。
久しぶりにちゃんとした笑顔見た気がする。

