「…ごめん、朝っぱらから」
「なんで不貞腐れてるんですか。せっかく来てあげたのに」
「別に不貞腐れてねぇし」
久しぶりに理人さんから連絡が来たと思えば、日曜日の早朝からの呼び出しだった。
集合場所は駅で、理人さんにしては珍しくカッチリした服装をしている。
「人を呼び出すならまずどこに行くのかを言うのが礼儀だと思いますけどね」
嬉しいのに、なんとなく素直になれない私は「親しき仲にも礼儀ありですよ」と可愛げなく言ってしまった。
「…依織くんに教えてもらったんだよ」
「何を?」
「親の、事とか全部。今までの事を」
「そうなんですか…」
「……墓、」
「ん?」
「墓参り、一緒について来て欲しくて…さ」
…だから普段着ないようなジャケットを。
緩く着こなした普段の服装も好きだけど、こういうカッチリした服も嫌いじゃないな。
あ、ピアスも外してる。
「いいですよ、一緒に行きましょう」
「っマジ!?ありがてぇわ」
「1人で行くの、不安なんでしょう?」
「…まぁな」

