「独身男性に子供って、生活もなかなかハードルが高いんじゃないですか?結婚するなら尚更だし…。それなら最初からいないのが当たり前の世界で暮らした方が良いのかなって…」
「…え、」
「多分ですけど、子供にも依織さんにもそれぞれ幸せになって欲しくてした事なんじゃないですかね」
そう言って依織さんを見上げると、目を大きく開いて驚いた顔をしていた。
…何か失礼な事を言ってしまったのだろうか。
「っあ、えぇと、何が言いたいのかというと…」
「ブフッ」
「えっ」
「あいつはやっぱりムカつく奴だよ」
「依織さん?」
「ありがとう。翠ちゃんが理人の傍に居てくれて本当に良かった」
…正しく伝わったのか、な?
依織さんものすごく笑ってる…。
「自分の大切な人をさ、大切にするのって難しいね」
「…伝わらない時が切ないです」
「そうだね、伝わってるのか伝わってないのか、分かりやすかったらいいのにね」
「………」
気持ちのすれ違いが1番馬鹿らしくて苦しいのは、私が1番知っている。

